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トリノ
トレース

vol 006

2025.01.29

アートフォーラム『民芸運動とウェルビーイングなまちづくり – 吉田璋也と式場隆三郎、二人の医師が手がけた地域デザインの可能性』
2024年11月17日 開催レポート

アートフォーラム『民芸運動とウェルビーイングなまちづくり – 吉田璋也と式場隆三郎、二人の医師が手がけた地域デザインの可能性』<br>2024年11月17日 開催レポート

2024年11月17日(日曜日)、「フクシ×アートWEEKs2024」とも連携したプログラムとして、「汽水域アートシェアリング2024 アートフォーラム『民芸運動とウェルビーイングなまちづくり – 吉田璋也と式場隆三郎、二人の医師が手がけた地域デザインの可能性』」を開催しました。

執筆|
鳥取大学アートプロジェクト2024年度おいはま組

編集|
石田陽介

編集補助|
蔵多優美

撮影|
田中良子

1イベント概要

〇イベント説明

『民芸運動とウェルビーイングなまちづくりー吉田璋也と式場隆三郎、二人の医師が手がけた地域デザインの可能性』

近代を迎えた日本において柳宗悦らによって始動した民藝運動の姿を見つめ、民藝運動をリードした二人の医師、吉田璋也と式場隆三郎の取り組んだ地域デザインに焦点を当てながら、私たちのウェルビーイング(幸福で健康)なまちづくりのこれからを語り合い、見出していく企画です。本アートフォーラムでは鳥取大学准教授の石田陽介さんと竹内潔さんが、民藝運動をリードした式場隆三郎の研究における第一人者である山田真理子さんを鳥取に招き、鳥取で新作民藝運動を起こした吉田璋也の足跡を深く研究し広く発信し続ける鳥取民藝美術館常任理事の木谷清人さんと、鳥取大学医学部准教授として新たに地域医療のMINGEIモデルを提案する孫大輔医師らと共に、民藝運動におけるこれまでの地域デザインの軌跡を見つめながら、私たちのこれからの暮らしづくりや、それを叶えるまちづくりを共に語り合うアートフォーラムが鳥取市役所で開催されました。

〇当日のスケジュール

  • 第1部:基調講演/13:30~15:20
    • 13:40~14:10 「吉田璋也の民藝運動とまちづくり」(木谷清人)
    • 14:15~14:45 「式場隆三郎の地域づくりにおける可能性」(山田真理子)
    • 14:50~15:20 「民藝運動と利他-地域医療のMINGEIモデルの提案」(孫大輔)
  • 第2部:トークセッション/15:30~17:20
    • ゲスト…
      • 山田真理子[式場隆三郎研究者]
      • 木谷清人[(公財)鳥取市文化財団理事長/(公財)鳥取民藝美術館常任理事]
      • 孫大輔[鳥取大学医学部地域医療講座 准教授/日本ブライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医]
    • コーディネーター…石田陽介[鳥取大学 准教授/ギャラリーコンパ主催スタッフ]
    • 司会…竹内潔[鳥取大学 准教授/鳥取藝住実行委員会代表]

〇アンケート結果(小数第一位は四捨五入)

  • 年齢:10代 4%、20代 4%、30代 4%、40代 24%、50代 24%、60代 16%、70代 16%、80歳以上 8%
  • 性別:男性 52%、女性 48%
  • 本フォーラムをお知りになったきっかけ:鳥取民藝協会から12%、大学からの案内24%、大学ホームページで0%、鳥取民藝美術館にて8%、その他56%(他のセミナーで配られたチラシ、公共施設に貼られていたチラシ、知人の紹介)

2講演・トークセッション

木谷清人さん(左)/山田真理子さん(中央)/孫大輔さん(右)

〇木谷清人さんの講演

鳥取市文化財団理事長・鳥取民藝美術館常務理事を務める木谷さんは、地域の近代建築の研究から、鳥取という地で民藝運動を推進した医師・吉田璋也の研究を始めた経歴を持つ、民藝運動研究者の一人である。
木谷さんは「吉田璋也の民藝運動とまちづくり」というテーマで、民藝の歴史を紹介し、その中で吉田璋也が鳥取の職人や市民にどのような影響を与えたのか解説された。「民藝」は、民衆的工藝の略語であり、かつては名もなき職人が作った庶民が日常に使用する安価な雑器だった。吉田璋也は「牛ノ戸焼」を初めとした窯元など民藝の作業場を訪れ、伝統的な材料と技術が残る鳥取で、伝統を受け継ぎながら現代の生活に即したデザインを提案した。象徴的なものとして緑と黒の釉薬で色分けされた「染め分け皿」が挙げられる。柳宗悦は、『工藝 10号』において、「形極めて美しい大小さまざまなのが焼ける。将来牛ノ戸のものとして名を永く残すであろう。」と述べている。その柳の予言通り、現在、牛ノ戸焼の染め分け皿は鳥取の民藝品のアイコンともなっている。吉田は「民藝運動は美による社会改革運動だ」として、その射程を文化財保護にも広げ、鳥取砂丘、仁風閣、鳥取城跡など、鳥取の貴重な文化財を保護するために尽力した。それらは現在、地域の大切な自然や文化として守り続けられ、貴重な観光資源ともなっている。「民藝館通り」には、民藝を通して、「見る・鳥取民藝美術館」、「買う・たくみ工藝店」、「食べる・たくみ割烹店」と3つの施設が立ち並び、今年は「憩う・たくみ珈琲店」もオープンして、鳥取の文化観光の主な拠点の一つとなっています。

〇山田真理子さんの講演

式場隆三郎研究者である山田真理子さんはまず、柳宗悦や吉田璋也らと共に民藝運動をリードした精神科医・式場隆三郎について、「民藝運動という『養分』を取り入れ、それを様々な仕事に展開させることで『花』として患者や社会を幸せにした」と述べた。式場隆三郎は、当時の精神科医療の「管理」療法を問題視し、明るくて和やかな病院を目指した、と。式場隆三郎の民藝運動を、「生活と実を結びつけて実務を行い、ことばを使った普及活動」であると述べ、「つぼを割る男」という民藝作品がきっかけとなり家族関係が改善した症例を紹介し、「民藝の作り手の人格や歴史伝統、自然の力と積極的に繋がろうとすることで、自他ともに生活が豊かになる」と結論づけていった。式場隆三郎は民藝運動家と関わる中で、一つの器物を通して、患者の乱れた生活を立て直すことができるのではないかと考え、患者の生活に益子焼きを取り入れている。式場は自身の病院の中に日本最大のバラ園を作ったが、そこでは園芸を通した作業療法を行い、院外の方々に一般公開を行った。また院内でのゴッホ展の開催、画家山下清のプロデュースや日本点字図書館の後援活動を通して、ウェルビーイングな地域創生に向けて尽力した、と。山田さんは、柳宗悦や吉田璋也らと共に民藝運動をリードした精神科医・式場隆三郎について、当時の日本における不十分な精神科医療を問題視し、明るく和やかな病院づくりを目指したと説明しながら、式場の民藝運動における役割を、「人々の生活と民藝を結びつけるために、ことばの力を使って普及活動と実務に取り組んだこと」と述べる。山田さんは、「壺を割る男」という式場の随筆を紹介し、式場は、「民藝の背後にあるものと積極的に繋がり、他者とその話を共有することで、自他ともに生活が豊かになる」と考えていたのではと説明。式場は、次第に民藝運動は、「一つの器物を通して、具体的に生活を建て直すことで人間を健康にする」ものであると考えるようになり、患者の治療にも繋がると考えた。これは、精神科医療が「管理」の側面が強かった当時、画期的な視点であったという。式場はまた、病院の中に設けた日本最大のバラ園での園芸療法の実施と一般公開、画家山下清のプロデュースや日本点字図書館の後援活動を通して、ウェルビーイングな地域創生に向けて尽力した。まとめとして、「式場は民藝のある暮らしから『養分』を取り入れ、それを様々な仕事に展開させることで、さまざまな『花』が開いていった。式場は色々な仕事をしたが、すべての仕事は繋がっている。この繋がりから学びを得ることでウェルビーイングな地域づくりに繋がっていくと思う」と山田さんは述べた。

〇孫大輔さんの講演

地域活動を大切にされている医師、孫大輔さんは、まちを歩く中で地域の文化に触れ、地域の人と交流し、人々のウェルビーイングな生活の在り方を探求されている。銭湯は、世代間を超えた助け合いや背中の流し合いなど「たまり場」として、公衆浴場以外の役割に着目している。銭湯や古民家、路地、お寺といった社会関係資本は、地域社会におけるウェルビーイングな人間環境の構築へと繋がると考えている。孫さんは移動型の社会関係資本として「屋台カフェ」を提案し実施しているが、可動式の小型の屋台を製作し地域住民と協力、交流が生まれ、大盛況であったことを報告された。この活動は東京の文京区から台東区一帯の下町である谷中・根津・千駄木周辺地区で始め、数年前より鳥取県大山町で行っている。大山町では社会的処方プロジェクトを実施し、支援者である「おせっかい人」が孤立した人に対する支援として、コミュニティナースと協働したりスーパー等で暮らしの保健室を実施される孫さんは、そうした活動に芸術文化活動を絡めながら人と人との繋がりを紡ぐ「文化的処方」の重要性を指摘する。町中にある文化・アートを活用し、文化芸術を通して地域住民と交流することで銭湯の「たまり場」としての機能を担いたいと語られた。書籍『日本のまちで屋台が踊る』から哲学者鞍田崇さんの言葉を引用しながら、孫さんは屋台によって社会性や身体性の回復を実現したいと語った。また、地域医療のMINGEIモデルとして、「身体性」「手しごと」「暮らし」「利他」の要素を強調。日常的に使うものの制作過程に「手しごと」性がなくなったように、医療においても身体性の回復を通して柳宗悦が示した利他の精神を、医療ケアに活かしたいと述べていた。

〇トークセッション

第2部ではまず石田さんより、孫さんの講演内容からコミュニティでの人とのつながりが死亡率低下や予防につながることを、江戸時代のまちの文化サークル「連」の在り方は、文化的処方そのものであったことを示した。その主張を受ける形で、トークセッションが展開された。そういったコミュニティとの関りがウェルビーイングにつながるというエビデンスは医療界でも浸透しているのかという司会である竹内さんからの問いに対し、孫さんは「精神科や家庭医療の界隈では伝わっているが、他の専門医療では技術の進歩に尽力しているためあまり浸透していない」と答えた。木谷さんは「民藝運動家は、人に対するまなざしが優しい。そしてそれはずっと受け継がれている」と述べ、「民藝は物から入り、なぜその民藝品がいいのかを解明し、民藝の背景にある宗教性や哲学性に触れることがウェルビーイングに繋がっていく」と語った。

それを受け山田さんは「美には論理を超えた力があり、美によって分かり合える。そして、民藝は美術品とは異なり誰もが持ち得るものである。民藝運動は身近なものの美を通して他者と分かりあっていこうという活動だ」と民藝運動と社会包摂の関連性を説明しつつ、「そうした根底には『優しい社会をつくる』という想いがあり、そのためには民藝運動だけでなく、障がい者のための具体的な活動も必要だと考え実行した。彼らの活動を継承していくためには根底にある式場たちの想いを理解して携わることが重要だ」と語った。「民藝がなぜ心地よいのか、それは触れるものとしての心地よさがあるのではないか」と孫さんは語り、それは自身の活動であるモバイル屋台にもつながると述べた。「自分たちの手になじむもので作ったから人をつなげていったのではないか。その点でモバイル屋台も民藝だった」と物と人のつながりについて持論を展開した。
次に、作り手と鑑賞者が分断されている状態を編みなおす活動は民藝に関係するのかという竹内さんの質問に対し、「近代の機械化で物が手から離れていった。それを取り戻すのが‘手しごと’性を取り戻すということだと思う」と孫さんは応えながら、最近の若い女性の間で民藝が『かわいい』と人気だという木谷さんの話題から、「『かわいい』と思う文化は、人をつなげる効果があるのではないか。屋台も小さくてかわいいから人をつなげたのではないか」と続けた。「大きいものよりも、小さいものをかわいいと思うのは人間の本能なのではないか。吉田璋也の民藝は丸いものが多い。そのような丸いものや小さいものが物と人の関係から発展して社会と人との関係につながり、社会改革運動になった」と木谷さんは述べた。

次に、木谷さんの話を受けて、物から事、さらに、社会や街づくりに取り組んだ吉田と式場についてトークが展開された。山田さんは、病院で患者さん方に講座をさせてもらう機会があったと言い、 「民藝運動の歴史について説明したら、民藝運動の担い手たちの真摯で優しい想いが伝わったようで、場に一体感が生まれ、温かい空気に包まれた」と述べた。孫さんは、 「医療がコミュニティから離れてしまった。暮らしに近い医療を取り戻していこう流れがある」と述べ、家庭医療が生まれた背景を説明した。また、 「映画を作る活動は何気なく始めたが、その活動により自分の体も元気になった」と述べ、自身は医師という立場にあるため、医療と統合したいという想いから現在の活動があると述べた。
この話を民藝運動とつなげる形でトークが展開された。 「生活を整えるといい仕事ができるし、自分が楽しまないと良さも伝わらないから無理をしないように、ということを教えてもらっている。民藝品も無理をしないで作られるものなのではないか」という山田さんのコメントに対し、木谷さんは、 「吉田璋也は名を残すような人ではなく、普通の職人が生計を立てられるように尽力していた」と述べ、また吉田璋也が震災で倒れてしまった子どものお墓を集めてお祭りをしたエピソードを紹介し、吉田の子供への愛情の強さを強調した。そして、そのお祭りは「亡くなった人だけでなく、今を生きている人にとってもウェルビーイングな暮らしへと繋がる」と述べた。それを受け「近代医療は『解決』を掲げているが、在宅医療ではブリーフケアという動きがある」と孫さんは述べ、仏壇を例に挙げて説明した。そして、その仏壇も民藝と同様に物から事につながっているという竹内さんのコメントでトークセッションは終了した。

3当日の様子・来場者感想

〇会場の様子

行政の方や学校の先生、アートに興味がある方など、老若男女問わず様々な目的をもった人が参加しているようであった。
講演やトークセッションの間も参加者全員が興味深そうに傾聴しており、民藝運動の歴史やウェルビーイングの知識を深めようと多くの質問が飛び交った意義のあるアートフォーラムであったと見られる。

〇来場者の感想

  • 精神的に長期にわたり病んだ時に、ものづくりをきっかけに急速に立ち直ったという経験があります。アートはつながっていくと感じています。
  • 特に疲れて手作りの食事を用意できなかった時、そんな時こそ民藝の器に映すだけで心が癒され食事が豊かになります。器の後ろにあるものが体感できる瞬間です。
  • 「民藝は、かわいいな」から入って、その精神、哲学に惹かれています。民藝は優しさの力があるという話が印象に残りました。
  • これまで民藝がウェルビーイングにつながるとは思いませんでした。今日の話を聞いて、その可能性はあるなと思います。民藝の店に行くとほっこりした温かさを感じるので、ウェルビーイングがあるのでしょう。
  • 利己的な世の中で、このように利他の精神で頑張ってきた方々がいらっしゃるのを知ることができたのが心癒されました。
  • 民藝運動が社会改革運動だということ、他者が歴史文化とのつながりを生活の中で感じることが生活を豊かにするという考え方が昭和初期に言われていたことに大変驚きました。まさに家庭医療だと思いました。

4レポーター編集後記

今回、このアートフォーラムに参加し、民藝運動の歴史の理解を深め、地域活動の柔軟性を感じることができました。それまで民藝がどのようなものなのかも知りませんでした。また、第3次民藝ブームの最中にあると語られていた通り、意外にも民藝は身近に存在することに私も気付かされていきました。近年、ライフスタイル雑誌だけでなく、YouTubeなどのSNSを通して自らの生活を気軽に発信できるようになり、「丁寧な暮らし」を発信する人が一定数います。YouTubeの動画の中で私も、民藝品を用いて料理をしたり、コーヒーを飲んだり食事を楽しんだりしている姿を見ました。そしてその映像は美しく、私も民藝品に興味を持ちました。また、今回の講演を通して、機械製品のカウンターカルチャーとしての手仕事の良さは、物から作り手の精神を感じ取ることができることだと学び、民藝品にはそれを使っている人だけでなく、見ている人にも温かさを感じ取らせてくれる力があると感じました。さらに、機械対手仕事の議論は、民藝品だけでなく、教育やビジネスなど様々な分野でも登場しており、それらにも手仕事からのみ感じとることができる人情という温かさは同様に言えると思いました。江戸時代の「連」に関しては、学生の部活動やサークルを連想しました。また、社会人になってからも、社内部活がある企業もあるため、そのような趣味を楽しむコミュニティが地域でも増えたらよいなと思いました。作り手と鑑賞者の間で生まれた距離に関しては、スマートフォンやSNSの普及により、映像の分野では誰でも気軽に発信できる環境があると感じています。しかし、「美術」となると、やはり敷居が高いイメージがあります。私自身、高校1年生までは美術の授業で絵を描いていましたが、それ以外では描いていませんでした。年齢を重ねるにつれて、他者から観たときの出来不出来を気にするようになるからだと思います。さらに大人になると、何かをするたびに「意味」を求めてしまうため、アートから遠ざかるのではないかと思いました。かつての民藝品が実用性だけを重視したように、現代は機能性やコスパを重視しているのだと思います。ただ、それだけを求めると心に余裕が無くなるような気がするので、生活に余裕を持ち、そこで普段なら数分で終わらせてしまう家事に、あえて時間をかけて自分の手で行うなどの工夫をすることで、利便性と手仕事性の両方をバランスよく取り入れた生活に挑戦したいと思いました。(岡田)

5主催情報

運営:鳥取大学アートプロジェクト・野口明生

主催:鳥取大学 地域価値創造研究教育機構

共催:鳥取県教育委員会事務局美術館整備局

特別協力:あいサポート・アートセンター

フクシ×アートWEEKs 2024連携企画

山田真理子

式場隆三郎研究者

学習院大学大学院人文科学研究科博士前期課程(史学専攻)修了。日本銀行金融研究所貨幣博物館、市川市文学ミュージアム、小樽市総合博物館で勤務した後、2019年4月に医療法人式場病院に入職。式場隆三郎旧蔵資料の整理、保存、調査研究、公開に拘わる業務を担当する。
現在は、研究成果を地域づくりに活かすプログラムを研究中。著書として『式場隆三郎と民藝運動』(式場隆史発行、2022年4月)「式場隆三郎の伝記的研究Ⅰ-立志篇-」『最新精神医学』(世論時報社、2024年9月25日)。

木谷清人

(公財)鳥取市文化財団理事長/(公財)鳥取民藝美術館常務理事

早稲田大学理工学部建築学科卒業。会社経営の傍ら鳥取県東部地域の近代建築の調査研究に携わり、そこから鳥取で新作民藝運動を起こした吉田璋也の研究を進めることになる。学会・雑誌等で研究発表・報告を重ね、吉田の民藝運動はデザイン運動であり、美による社会改革運動に至る幅広い活動だったことを明らかにしてきた。編・著・執筆に『鳥取建築ノート』(1991)、『Shoya YOSHIDA』(英文・2012)、『吉田璋也の世界』(2015)「民藝運動の建築への視座とその源流」(2016)等、展示に『NEXT 80 YEARS-Shoya YOSHDA』(ヘルシンキ・2012)、『濱崎少年の見た「はるかな鳥取」』(鳥取市歴史博物館・2014)、『吉田璋也の民藝―美の王国を夢見て』(鳥取民藝美術館・2020)等がある。

孫大輔

鳥取大学医学部地域医療学講座 准教授/日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医

総合診療医(家庭医)。これまで一貫して、地域における対話とウェルビーイングをテーマに活動してきた。2020年に東京から鳥取県大山町に移住。現在、地域医療に従事しながら、教育・研究活動や地域活動に従事。これまで医療をテーマとした短編映画を3本制作した経験がある。著書に『対話する医療―人間全体を診て癒すために』(さくら舎, 2018年)、『臨床と宗教―死に臨む患者へのスピリチュアルケア』(南山堂, 2023年)、『ダイアローグ〈対話〉のはじめかた:医療・福祉にかかわる人のための対話哲学レッスン』(医歯薬出版, 2024)など。一般社団法人コミュニティウェルビーイング研究所代表理事。

石田陽介

鳥取大学 地域価値創造研究教育機構 准教授/ギャラリーコンパ主催スタッフ

九州大学大学院統合新領域学府ユーザー感性学専攻博士課程修了。精神科総合病院におけるアートセラピスト勤務を経て、くらしの中に芸術養生が息づくウェルビーイング(健康で幸福)な地域社会の仕組みづくり「ソーシャル・アートセラピー」の実践研究活動に取組む。鳥取で現在、美術館セラピープロジェクトを推進中。2005年より、「ギャラリーコンパ」を継続し展開する。著書として『芸術養生-ウェルビーイングなまちづくりに活かすアートシェアリング』(今井出版)ほか。日本芸術療法学会認定 芸術療法士〔アートセラピスト〕。博士(感性学)。

竹内潔

鳥取大学 地域学部 准教授/鳥取藝住実行委員会代表

2003年茨城県入庁。県内で医療行政と税務に携わった後、東京にある財団法人地域創造へ派遣となり、全国の公立文化施設の支援に関わる。茨城に戻り文化振興担当となるが、約1年後に東日本大震災が発生。これを機に学び直しを決意し、2012年から休職して大学院で文化政策について学ぶ。2017年から現職。現在は「ホスピテイル・プロジェクト」に関わりつつ、鳥取県・鳥取市をはじめとする自治体の文化政策と地方創生戦略との関係、特に文化・芸術そのものの意義や価値とその利活用をめぐる葛藤に関心を持って研究をしている。

おいはま組

鳥取大学アートプロジェクト2024年度

おいはま組メンバー:岡田千優、出井千嵯、初田和佳奈、松野陽奈
記事執筆担当:岡田千優