はじめに
トットリ
ハァート
人が新たな人間関係を築こうとする時、情報共有はともかく、感情の共有までもは難しいものです。「相手を理解するべき努力は最大限するべきだが限界もある。そうした限界を超えて、共感や驚きを抱けるのが芸術の力ではないか」とある研究者は述べましたが、アートの鑑賞や創造を共に行う体験は、驚きや喜びといった様々な感情の共感を促し、人の間に横たわる障壁を溶かしうる可能性を多くはらんでいます。そうしたアートのシェア体験がもたらす効果を活かし、例えるならば海と川、それぞれに生息する異なる領域の水中生物群が、海水と真水とが混交する河口付近にて互いに交わりながら豊かに共生しうる汽水域のような隔たりのない人間環境を、私たちが暮すこの地域社会に築けないものでしょうか。
私たち鳥取大学アートプロジェクトは、「アートと医療の汽水域をまちにひらく」ことをミッションに掲げ、本WEBサイト「トットリハァート」へ訪れる人・携わる人のウェルビーイング(健康で幸福)な未来をデザインすることを目指します。
- プロジェクトロゴについて
- プロジェクトのキーワードとなる「ART」と「MEDICAL」のそれぞれの頭文字で、“HEART”を形成しています。
“読むWEBサイト”であることから、本やノートを開いた際のイメージするとともに、鳥取の海や山、汽水域のある東郷池の穏やかな波を表しています。
美術館
セラピー
プロジェクト
日本の文部科学省が推進する新たな教育指針に、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)、この5つの単語の頭文字を組み合わせたSTEAM教育があります。国際社会が大きく変化する中で生まれた概念で、人材育成における鍵としてArtは現在、教育の基幹となるものとして重要視されています。
また現在、世界中の国々や企業がこぞって推進する改革にDXがあります。そしてそのDXを推進する人材の育成教育の鍵は「アート思考」の体得にあるとも言われます。DXとは、Digital Transformationの略語で、直訳すると「デジタルによる変革」となります。デジタル技術を用いることで、生活やビジネス、社会全体の行末を大きく変革させていくことをDXと呼びますが、そうしたDXに対して、今回新たにAXという概念をここに提示し、新たな教育指針および地域創生のビジョンを表していきます。
AXとはArt × Medical Transformationの略語あり、直訳すると「芸術と医療の融合による社会変革」となります。「芸術療法(Art therapy)」とは、芸術体験のもたらす癒しの作用を、近代医学のテクノロジーとして、人の心身のリハビリテーション治療へと応用した臨床技法です。「芸術養生(Peer self – art therapy)」とは、そうした芸術療法がもたらしうる治療構造を市井に還元させる新たな予防医学であり、市民同士がアートシェアリングを通してケアを行い、各々のQOLを高めあうための地域社会における相互自助活動です。
本WEBサイト「トットリハァート」では、全国に先駆けたセラピューティック(治療・養生的)な芸術養生プログラムを推進させる「訪れる人・携わる人のwell-beingな未来をつくる地域創生」を構想しています。その実現化に向けた芸術養生都市(AX City)創出推進活動の一翼として「トットリハァート」を展開していきます。
- プロジェクトリーダー
- 石田陽介
鳥取大学
地域価値創造研究教育機構
准教授
九州大学大学院統合新領域学府ユーザー感性学専攻博士課程修了。精神科総合病院におけるアートセラピスト勤務を経て、くらしの中に芸術養生が息づくウェルビーイング(健康で幸福)な地域社会の仕組みづくり「ソーシャル・アートセラピー」の実践研究活動に取組む。鳥取で現在、美術館セラピープロジェクトを推進中。2005年より、「ギャラリーコンパ」を継続し展開する。著書として『芸術養生-ウェルビーイングなまちづくりに活かすアートシェアリング』(今井出版)ほか。日本芸術療法学会認定 芸術療法士〔アートセラピスト〕。博士(感性学)。
- project member
- プロジェクトリーダー | 石田陽介(鳥取大学 地域価値創造研究教育機構 准教授)
WEB制作チーム | 蔵多優美(ノカヌチ)、加藤咲、ひやまちさと、小島慎司(鳥〜みんぐ)
クリエイティブディレクション、プロジェクト設計サポート | 蔵多優美(ノカヌチ)
ロゴデザイン | 加藤咲
イラストレーション | ひやまちさと
鳥取大学デザインプロジェクト2022年度受講生 | 髙畠宏架、山口楓、西塔亮之介、炭谷華月、長谷川真夕、中澤柊生、木村騎士、井上柊、花岡芽依、永井花、古森南帆、坪内優志
鳥取大学アートプロジェクト2023年度受講生 | 関口論、平松和奏、上西雄飛、早田勇亮、森美理、園部功一郎、髙野采香、髙橋侑希