水音だより 4 「しじみとはんぺん」
心に穏やかさを取り戻したいとき
水辺に寄るのはどうしてだろうか。
けれど今日の水面は荒く波が立ち
雲はどんよりしている。
雲間から光がさすかしらと期待するも、望みは薄いようだ。
それでも水鳥たちは水面に降り立ち
またどんどんと流されていった。
小舟がやってきては
水中の黒い宝石をかき集めて
去っていった。
どんな感情も、一度自分の中で噛んでみるとする。
あまり美味しくないし、ちょっとお腹が痛い気がする。
そんな時は、温めた湯たんぽをお腹に抱えて
布団にもぐりこんだっていい。
もちろん年齢や性別も関係なくね。
そのあと、急激に元気にならなくてもいい。
そろそろっと布団から出てきて
ちょっとだけ明日を見ようとするときに
小さな声でこう、つぶやいてみませんか。
「しじみとはんぺん」
病気が立ちどころに治ったり、お金持ちになったり
という効果はひとつもないけれど。
なんだか、ああ生きているって思えるかもしれないね。
じゃあまた、いつかどこかで。