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ハタチノ
ヴォイス

vol 003

2023.02.22

ハタチノヴォイス:2022 受講生「をわぬ組」相互インタビュー

ハタチノヴォイス:2022 受講生「をわぬ組」相互インタビュー

2023年1月11日と18日の両日、本WEB制作にも携わった鳥取大学「デザインプロジェクト」2022年度受講生12名の相互インタビューを、四つの班ごとに開催しました。

執筆|
鳥取大学デザインプロジェクト2022年度をわぬ組

編集・撮影|
石田陽介

編集補助|
蔵多優美

花岡

まず、この講義の履修前と履修後で何か変化はありましたか?

井上

私は、この講義中で、たくさんの方のウェルビーイングについて聞いて、自分自身のウェルビーイングについても考えるようになりました。
例えば、何かを選択するときに「自分はどの選択肢を選んだら、一番幸せになれるかな」と考えながら選ぶようになりました。

木村

私は、絵で人を癒すということが最初はよく分かりませんでした。
しかし、講義を通して少しだけ絵で癒される感覚が分かってきました。
授業の中で参加したギャラリーコンパに参加して、自分が楽しい気分になったとことが一番のきっかけだと思っており、ワイワイと絵を鑑賞しながら話していると、自分でその絵を一回観ただけでは気づかなかったような情報が入ってくるんです。
何度も何度も吟味してみるような感じで。
それがすごく楽しいと感じて、自分的にすごく心が癒されたことを感じました。
もう少しで講義も終わりますけど、ギャラリーコンパを通して、自分の意見だけではなく、さまざまな方面から物事を見られるようになったのではないかと思っています。

花岡

履修前、私はこの講義を講義名だけ見て取ったんですよ。
なので、初めの授業で説明を聞いたとき、なんか思ってたのと違うなって思ってました。
でもきっとこの先何かの役には立つだろうと思って受けることに決めました。受けているうち、私は初めて聞いたんですけど「ウェルビーイング」っていう言葉や、それについてを学ぶ機会がたくさんあって、とても勉強になりました。
感じ方や得られるタイミングもひとそれぞれで、皆さんのお話はとても興味深かったです。
履修後、自分はどういう感じ方で何をしたらウェルビーイングを感じるんだろうって考える機会が多くなったし、意識して物事に取り組むようになりました。自分のウェルビーイングが分かれば、もっと人生楽しくなるだろうなって思いました。

花岡

次に、この講義を通して一番印象に残っていることは何ですか?

井上

孫先生の「今楽しかったらいい、十年後のことは十年後、その時に考えたらいい」っておっしゃっていたのが印象に残ってます。
私も結構先のことを考え不安になって、今できる事とか今しかできない経験をするチャンスを逃すみたいなことがよくあって…。
孫先生のお話を聞いて、それではもったいないから、だったら今できることを全力で楽しんで、そこから得られることはすべて吸収して、そうしたら、自然と十年後だったり、先も見えてくるかなと、やりたいことが見つかっていくかなというように、将来を楽観的に考えられるようになりました。
だから、すごく良いことを教えてもらいましたね(笑)
それが一番印象に残ってます。

木村

私は先ほども言ったのですが、やはりギャラリーコンパが一番大きく印象に残りました。
私は、このようなイベントやワークショップに参加することが初めてで、なかなか参加する機会がなかったんです。
ちょっと敷居が高いようにも感じていました。
しかし、今回の授業を受け、このようなイベントは誰でも参加でき、そして最大限に楽しめることが分かりました。
参加していろいろな人と話すことの大切さに気づけたし、また参加したい気持ちもあって、この講義を受けて一番印象に残っています。
恐らく、もしこの講義を受けていなかったらイベントの楽しさに気づくことができなかったため、良い経験になりました。

花岡

私もギャラリーコンパが一番印象に残っています。
視覚障がいを持っている人と「美術館の作品を言葉を使って一緒に鑑賞する」というのを初めて経験しました。
こういうことをできる機会ってなかなかないと思うし、この講義を受講しなかったら未だ存在自体を知らなかっただろうし参加していないと思います。
やはり経験することってとても大事だなって感じました。
やってみることで得られる経験ってたくさんあるし、この経験を生かして進んでチャレンジしよう!って思いました。

花岡

こうやってアートを通じてギャラリーコンパや上映会などを行いましたが、思ったことや感じたことは何かありますか。
井上さん、どうですか。

井上

そもそも視覚障がい者の方と接する機会っていうのがなくて。
だから、どこまでサポートしたらいいのかとかが分からなかったんですけど、実際に話したりしてみて、一人で歩くのは難しい時もあるけど、晴眼者の私たちよりも視覚的なことに関しても知ってらっしゃることとかが多くて。
すごいなって思って。
だから、さっき二人が言っていたみたいに、実際にやってみないと分からない事ってあるなって感じました。
ギャラリーコンパで一緒に作品を観た視覚障がい者の方がすごく知識があって、晴眼者が知らなくて、言語で説明できないことも、「これはこういうことじゃないの」とか、「この絵に描かれているのは麒麟獅子なんじゃないかな」って教えてくださって。
私たちもすごく楽しかったし、勉強になりました。
参加してくださった視覚障がい者の方も「勉強になった」「楽しかった」っておっしゃってくださって、ギャラリーコンパはお互いにとって、みんなにとって、いいものだったのかなと思います。
だから、「ギャラリーコンパがあんなに良いものだった!」ってことが分かってよかったと思いました。
木村さんはどうですか。

木村

言葉で絵を伝えるっていうことがすごく難しいと痛感しました。
「赤」と言ったら、初めに想像できる色はクレヨンの赤色だと思います。
しかし、同じ「赤」でも、夕焼けの赤といえば、少しオレンジ味を帯びていたりすることが誰でも想像できるため、前に想像しやすいものを加えることにより、同じ「赤」でも表現できる色が増えたりして勉強になりました。
端的で且つ、相手にどのような言い回しで言えばうまく伝わるのかを考えながら会話をすることが難しかったです。
例えば、絵に人物が映っていたら、ポーズや表情がありますよね。
私は暗いような雰囲気の絵に見えると思っても、他の人は明るく見えていたりと、周りの人の絵の見え方でその人の感性や価値観を覗くことができ、非常に面白いと思いました。

花岡

私はある一枚の絵について話し合ったことをとても良く覚えてます。
その絵は横長長方形のキャンバスで、夕日が落ちる頃、キャンバス左側に描かれている浴衣を着て椅子に座っている女の子の絵でした。
初めはみんな、「浴衣を着ているのに絵や表情が暗い」などというネガティブな印象を持っていました。
でも話し合っているうち、「実は妹を待っているのではないか」とか、「花火を見るから夕方なだけで待ち遠しく待っているのではないか」など、考え方や伝え方次第で感じ方も受け取り方も全然変わってくるのだと思いました。
当たり前に使う言葉ってとても大事なんだと思いました。
この世には、まだ自分の知らないことが沢山あるのだと知って、とてもわくわくしましたね。

では、次の質問です。二人はアートに助けられた経験ってありますか。

井上

ありますね、よくあります。
私は小さいころから高校三年生まで、クラシックバレエを習っていて、あとは中高大の部活で演劇をやっていて。
だから、芸術は昔から、すごく好きだったんですけど、小学生の時には結構人間関係で悩むことも多くて。
そんな時に、バレエが私の息抜きだったんですね。
バレエ教室は唯一、自分を表現できる場であったり、運動することでストレス発散の場でもあったり。
だから、私はバレエに、芸術にすごく助けられたなと思います。
大学受験の時にも演劇やバレエをしてストレス発散していましたね。
ほかにもちょっと音楽聞くとか、絵や動画を見るだけでもすごく癒されるから、芸術、アートにはいつもお世話になっていますね。(笑)

木村

私は中学の美術の先生から、「絵が下手だね」と冗談で言われたことがあるんですよ。

井上

え。

花岡

そうなの。

木村

はい(笑)
その時は、ぐうの音も出ないほどすごく下手だと自分でも思っていたので、傷ついたりはしなかったんですけどね。
でも、私は妄想することが好きで、時々、自分の世界に浸ってたりしているのですが、それを表現する方法がなかったんです。
でも、自分の妄想の世界を共有したいと思っており、ちょっとずつ絵を練習し始めたんです。
今は普通の人より少し絵が描けるくらいになれたのですが、思い返してみれば、描いた絵を見て成長を実感して楽しんだり、ストレス解消にも役立ちました。
それに加え、私は趣味があまりなかったので、絵を描くことによって共通の趣味の友達ができたことが一番アートに助けられた経験だと思います。
絵を続けられたことも美術の先生のおかげだから、感謝しなければいけないなぁ。
なんて思っています。(笑)

花岡

「下手だね」って言われてから、やめようって思うんじゃなくて、上達しようと練習するのはすごいね。

木村

成長していく過程も、かなり楽しかったので。(笑)

井上

アートが楽しみとか、趣味になるといいよね。
花岡さんはどうですか。

花岡

私は中学まですごいマイナス思考で、人のことを気にしすぎてしまう性格だったんです。

井上

そうだったんだ。

花岡

今はそう見えない?(笑)
前はマイナス思考だったんですよ。
でも、絵を描いているときだけは、自分のことと絵に集中できたんですよね。
今になって気にしすぎることはなくなったけど、ストレスを感じたら息抜きとして絵をかいたり、音楽かけて熱唱したりして発散しているので、今でもアートにはとても救われています。

では、アートの魅力って何だと思いますか。

井上

アートは、いい意味で、人の感情をコントロールする力があると思います。
例えば、私はもともとあまり自分表現するのとかが得意じゃなかったんですけど、バレエや演劇は表現の場なので、必然的に自分を表現するんですね。
だから、そのおかげで、自分を表現することの楽しさを知って、元気に、明るくなることができて。
他にも、音楽を聴いたり演劇を観たりして、癒されたりとか。
明るい気持ちになったりすることができると思うから、そういう意味で、アートは人を元気にしたり、色んなことを考えさせたりする力があるものだなと思ってます。

木村

絵の魅力は、人それぞれに異なった絵柄があることだと思います。
動物を描くにしても、モコモコに書いたり、スリムに書いたりして、描き手がどのようにモチーフを想像しているかが分かるんです。
絵のタッチや色使いも十人十色で違うと、絵を描いた人の価値観だったり、感性を知れ、さらに、その絵を一緒に鑑賞し合うことで仲良くなれると思うんです。みんな違って、みんな良いところに、魅力があるのだと思います。

花岡

私は誰でも楽しめるということが一番の魅力だと思います。
絵を書いたり、音楽を聴いたりすることって老若男女しているので、こうやって自分たちの身近にいる存在だし、助けられた経験があるんだと思います。
井上さんのバレエは確かに限られるかもしれないけど、鑑賞として楽しめるのですごく魅力的なものだなって思います。

井上

確かに、バレエは結構、型がきっちりしていて、習わないと難しいところもあるけど。
クラシックバレエだけじゃなくてコンテンポラリーとか、ダンスとかの表現運動は誰でも挑戦することができると思う。
ダンス系の魅力って、言葉がなくても、自分を表現できるところだと思うので、本当にどんな人でもみんなで楽しむことができると思いますね。

花岡

確かに、そうだね。
最後に、今回の様なギャラリーコンパなどのイベントがもっと社会に浸透するにはどういった努力が必要だと思いますか。

井上

人がたくさん来るところで、こういうイベントをしたらいいと思います。
例えば、今度、倉吉市にできる鳥取県立美術館では、アートを通して人と人との交流も大切にすることを目指しているそうなので、その美術館には、アートを通して人と繋がりたいって思っている人が来ると思うし、そういう人じゃなくても、行った時に楽しそうだなって思って参加してくれたりとか、観てくれたりした人がまた他の人に広めたりとかしてくれると思うし。
やっぱり私たちみたいに、やってみないと楽しさは分からないと思うから。
そういうイベントが人と人がつながる場で行われることで、より多くの人に知られて、多くの人の目に触れて、参加して、そうやって、 社会に広まっていくんじゃないかなと思います。

木村

ギャラリーコンパに初めて参加して分かったのですが、参加して初めてイベントの面白さに気づけたんです。
だから、友達を有無を言わさずにイベントに連れて行くことが良い方法だと思いました。
このようなイベントは、興味のある人しか参加しないという実情があると思うんです。
私もイベントに参加した経験を通して良かったと思ったので、友達を連れて行き、イベントの楽しみ方を知ってもらいたいと思いました。
友達と一緒にイベントに行けるようになっても面白いし、友達から他の人に伝わっていく波及効果もあると思うので、イベントを通して人の輪をつなぐようなことも出来るのではないかと思います。

花岡

浸透って難しいことだと思うんですけど、やはりこのような経験を通して木村さんが上げたように参加しないと分からないことってたくさんあると思うんですよね。
なのでまず、自分が参加してみることが大事なことだと思います。
参加してみて、また新たに課題や解決法が見つかることがきっとありますし、それこそ友達を連れていくとか、自分の範囲でできることからしようと思いました。
あと、井上さんが言っていたように、今度大阪である万博とかの大きいイベントで、こういう企画をしてみて経験してもらうことが一番近道だし、浸透しやすいかなと思います。

木村

そうですよね、ほかにもギャラリーコンパという言葉自体を浸透させることが大事だと思っています。
私はこの言葉を初めて聞いて、「ギャラリーコンパとはなんぞや?」と感じたので、インスタグラムなどのSNSを活用してイベントの魅力を伝えていくことにより、若年層も取り込んだ、より多様な人を巻き込んでのイベントが開催できるのではないかと思います。

井上

このウェブを作ることも、知ってもらうのには有効だと思う!

花岡

鳥取大学っていう名前もあがってますし、お国の力がありますからね。(笑)

井上

そうだね(笑)

をわぬ組

鳥取大学デザインプロジェクト2022年度受講生

をわぬ組メンバー:木村騎士、井上柊、花岡芽依